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■リ・チャレンジ2.0〜若者の立ち直り支援について話をしよう〜を開催しました!■

2019年02月03日

NPO法人なんとかなる
NPO法人なんとかなるとしては、初めてとなる都内でのイベントでしたが、大成功のうちに終わりました! 主催者が「大成功」というイベントは眉に唾を塗ってみなければいけないと思うかもしれませんが、当事者が滔々と話してくれたストーリーや事実は、私自身、これまで知らなかった話がたくさんあって、とっても考えさせられる機会になりました。 イベントは3部構成で、会場参加型で進みました。イントロで、私からNPO法人なんとかなるの活動について説明をしつつ、会場の皆さん同士で「少年院・刑務所のイメージ」や「このイベントに出席した理由」などを共有してもらいました。これが結構盛り上がって「入ったことがないのでわかりませんが」みたいなセリフが聞こえてきたり、「僕は入ったことがあるんですけど・・・」という発言もあったりで、参加者同士の理解促進にもなったと思います。 さて、まず第1部は「支援する側される側の溝を埋める」というテーマで、登壇をしたのは、NPO法人なんとかなるの共同代表の岡本と今回の企画を一緒に進めてきた少年院出院当事者の新井くん。そしてリディラバ代表の安部くんに進行をお願いしました。 安部くんからの容赦のない質問に、新井くんからは「少年院を出たばかりの時は、『支援するよ』という人たちに辟易していたことがあった」という話や、岡本からは「これまで15年のうち80人以上引き受けてきたが定着することの難しさを感じている」という実情に即した話がありました。 そのあと、第2部が圧巻でした。当事者の二人が、事前に受け付けた質問や会場からの質問にとうとうと答えていくのですが、当事者でなければわからないこと背負っているものの重さがひしひしと感じる話でした。一人は刑務所出身者で、服役前に別れた奥さんとの話が涙なしでは聞けませんでした。自分がしてしまった犯罪について、「ネットにも出てるんです」と正直な告白からスタート。地方出身ということもあって出所後に故郷に戻りたくても、すぐに噂は広まってしまう。スーパーに行っても、バスに乗っても、あそこの誰それさんは〇〇をして捕まったと。それでは、別れた奥さんやお子さんたち申し訳ないという配慮で、故郷には戻らずに首都圏に来たということでした。今でも10万円の仕送りを続けているらしくて、できれば子ども達には大学に行かせてあげたい、という言葉に深く感じ入りました。 もう一人の少年院出院者の若者は、育ったバックグランドをストレートに話してくれました。お母さんが11歳で亡くなって、父親からのDVを受けるようになり家出をして、母方のお祖父ちゃんお祖母ちゃんの家に。でも二人から大好きだったサッカーを取り上げられて非行の道に。中2の時に傷害と窃盗で捕まった時にすぐ釈放され、逆に「こんなもので済むのなら」という気持ちで、さらに悪い道へ。お祖父ちゃんお祖母ちゃんの家を出て当時付き合っていた女性と二人で暮らすようになってからも、彼女に働いていると嘘をつきながら、恐喝、万引き、窃盗を繰り返していたそうです。それで、捕まった時には少年院へ。実は、中2の初犯の時にお祖父ちゃんお祖母ちゃんがものすごく警察や保護観察所と掛け合ってくれて、大したことのない処分で済んだことをあとで知り、悔悟の念を抱いたということでした。今ではそのお祖父ちゃんお祖母ちゃんをこれ以上裏切りたくないという一心で働いている、ということを目を潤ませながら話してくれました。 第3部は、岡本、新井くん、安部くんへの質問を会場からもらいながら、私が進行しました。少年院・刑務所の中で有効なプログラムはないか、とか、当事者に対する偏見をどのようにすれば払拭できるか、など、おかげさまでとっても前向きな議論をすることができました。 一時代前であれば再犯防止とは、法務省が主導し、保護司や協力雇用主の皆さんの献身的な取り組みで前に進められてきました。けれどもこれからはそれに加えて、市井の皆さんが集まって、何ができるかを考える時代に来ているのだと感じることができました。これも参加された皆さんの関心の高さと、当事者としての思いを赤裸々に話してくれた3人のおかげ、そして最高のモデレートをしてくれた安部くんのおかげだと思います。 本当に素晴らしいイベントになりました。これからも定期的に開催していきたいと思います!
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